The love that breathes

例えば空を見上げるような.

うたごえのたび

.ENDRECHERI. Ballad of FUNK

2023.10.16 @TOKYO DOME CITY HALL(○)
2023.10.27(昼公演) @なら100年会館(●)

 


剛さんがバラードをあんなふうに全身全霊を注いで歌唱する姿を目撃する現在があるなんて思っていなかった。
FUNKの世界が魅了する.ENDRECHERI.、ピッチに難しさが現れるお耳のこと、それがある今こういうステージがあるんだなあって、ある意味夢を見たような心地で、でも目の前には闘い歌う剛さんがいた

昔はライブに行くと多くはアンコ前ラストにその時々のバラード曲が据えられていて、いつも心身を震わせて、全身全霊で剛さんの表現を受け取っていたと思い出して。
是否でなく、剛さんが心身を賭して表すそういう曲たちに救われて生きてきたから。そんな楽曲たちで織り成されたセトリがいまでも夢みたい

 

全編着座、Gakushiくんはグランドピアノとキーボード(シンセサイザー?)、剛さんはボーカルのみとギターとピアノと。ゆで卵を横向きに、黄身を手前に置いた状態で黄身分カットしてあるような楕円形の構造物がステージ中央にあって、
下手にGakushiくん&楽器、真ん中(黄身繰り抜いた所、1段段差あり)に剛さんスペースで下手にギター2本と上手に逆四角錐(錐は逆さまで四角の平らな部分がテーブルになっている。錐の中はクリアでたぶんだけどエンドリケリーが数匹泳いでいる?)みたいな構成。
上手に剛さん用key、あとは背面に三つ折りのモニター(剛さんの顔や観客等は一切投影されない)。
ステージ両サイドに3本の曲線でくーさんを連想させるオブジェ(「ノ」の組み合わせのような。キャンプのオブジェで出てきそうな構成。これ27日公演ではなかった気がする)、で以上。ミニマルで必要十分なステージの光景。

 


LOVE VS. LOVEの追加パートの歌詩はこれでした↓
「大粒の涙があふれてく
大粒の涙が旅立っていく
この今を見詰めて
この今を写して」
このフレーズからohとブリッジを入れて大サビに駆け上がっていくところも、胸が高まりまくるやつ

●Everybody say love、ラストのah, Everybody say loveとリフレインする所、うち2回くらい1オクターブ上のラインで歌唱されてた!そのキーをコントロールする剛さん、感情が乗ったこともあるのかもだし、そしてきっと挑戦のひとつだろうで、兎角格好良かった

○シンジルとウラギル。漢字平仮名漢字でなく片仮名平仮名片仮名ね。
愛詩雨も、悩むひとの話をいっぱい聞いた、寄り添うけど自分も苦しくて。暗い歌やけど、好きな歌。 PINKとかもそう(【si:】もPINKも大好きなので名前が出てきて吃驚&歓喜)。好きな歌。

○赤い鼓動のHeartと瞬き。
日本人が好きだよね、さんはいって感じで。歌ってからこんなこと言うのもなんだけど(緩笑)。
こういう曲も作ろうと思えば作れるんやけどね…作りませんね…提供とかで依頼があれば作るんやろうけど。
(以上ニュアンス、剛さんの音楽の行方のままに奏でてくださったら嬉しいよ…!)

勃&愛のない 愛もない いまが嫌い&Rain of Rainbowは言葉を継いで歌い掛けていく楽曲たち。
勃の時(かなあ)、剛さんの足元の照明、寒色(青とか緑)暖色(ピンクとか)を行き来しながらぐるぐると色の線が走っていて(細い糸の毛糸玉みたい)、赤の勃と青の勃を同時に思う
愛のない 愛もない いまが嫌い、スクリーンに歌詩表示あり。Balladeを紡ぐコンサートのセトリに選ばれるの、刺し込むようなこの歌詩をスクリーンに投影する選択がされているの(歌詩投影はある曲とない曲がある)、すごくどきりとする。
Rain of Rainbow、原曲はEDM、ドンチードンチーとリズムが鳴っている曲、と剛さん。それがボーカル以外を極小化してアレンジされるとより言葉が、歌詩がスポットライトを浴びて、歌い方にも依拠するメッセージが胸の真ん中に飛び込んでくる楽曲になるんだなあ

○剛さん、自分の全身を(80歳にでもfunk、の話で、声帯も筋肉だからと仰っていた)、骨を筋肉を姿勢を声帯を口許を腕で握るマイク位置をたぶん精緻精密にくまなく認知し把握して、この声音の時はこうして歌う、を張り巡らせて、弛みのない正確無比かつ感情の乗った歌詞をされているのかもしれないと感じた。
お耳のことがあってから、それぞれのライブ会場でどう歌うのが良いか、経験のし直しと仰っていて、いまのご自身の身体をどう扱えばどう歌唱できるか、相当研鑽を積まれたのかなあと勝手に思った。202021、当時耳にしていたのと音程の塩梅が相当違った。
あのロングトーンをびたびたに当ててくる剛さんの歌唱、素敵で凄くて一周回って平伏したい位の気持ちになった。天賦と研鑽をどれだけ積んだら、半音フラット(A)する片耳も御してあんなBalladeを歌えるのだろう
これ、歌い姿が機械的に見えたのではなくて、姿勢とか列挙したものことたちが今まで見たことのないバリエーションを含め様々に体現されていてそれを目の当たりにしたから、それが最早精緻なものにすら見えるという話で。
どこまで頭で、どこまで心象で歌っていたかは、繰り返しだけれど観客では知る由がなくて。ただただ剛さんが発するその歌声に魅了されていた、吸い込まれるような心地がしていた、という話

I've found my voice、初めて聴いた日も剛さんの過去と現在を目の当たりにした気持ちになったけれど、それからまた困難と幸福を織り交ぜて時間と体験を積み重ねてきた剛さんは今この歌をどんな気持ちで歌っているのだろう。そう思った。
○歌唱は切実で、かなりの時間前屈みの姿勢で、マイクに声を絞り入れるように歌っていた。またセトリ曲位置に剛さんの感情が透けて見えるような錯覚を得た。
耳の治療のこと、でもあの時処置していたら治っていたか、そうでないかは、わからない。と、「わからない」強く言い切っていたことにまた胸が震えた。
現状に対し最善を尽くしてきたと話す剛さんの姿にまた心臓がぎゅっと音を立てたような気がした。
●I've found my voiceのラスト、声に張りを携えたロングトーン、ああ剛さんのロングトーンだ、ある頃までLIVEの最終盤にセトリ入りするバラード曲、それまでどんなにfunkで昂っていてもその瞬間に心も身体もたちまち途端に掴まれて聴き入る魅入るそれだった

街前(この前にステージから一度はけるので、アンコール的な位置付け?)、万雷の拍手明けピアノソロ、歌詩は「I want love」「I am love」「You are love,too」の3語だった…と思う。
○これを少しずつ違うニュアンスで複数回ずつリフレイン。呟くように、溢すように、贈るように、表すように…そんな温度。僕も君も愛だよと歌う剛さん
●街前のピアノソロ。フレーズは変わらず、込もった想いのいろが少し違う印象だった。前回はまだか弱く呟くように、暗闇でそっと腕を伸ばすように。今日は愛を確かに抱え感じる事を表すように、光を見据えているような。より明確な意志があらわされた歌唱に感じた

○街の歌唱、声を発していない時は瞼をぎゅっとつよくつよく結んで、ほぼずうっと天井を仰いで、左手をボトムスのポケットに入れて。けれど歌声はしなやかで。
歌唱が途切れ再開するたびにこらえるように歌い出して、そして最後の「忘れたくないんだ」というフレーズ。
歌い出しにひとときの時間を要して、一声目は溢す様に、結びは少し掠れた声色で振り絞るように、紡がれていた。
座席的に剛さんがこちらに身体の正面を向けていて。泣くまい、歌い続けよう、と糸を切らさないよう歌声を積み重ねている姿が、目に焼き付いている
●街の大サビからラストも地に足が確りとついているような、願いでなく意志として「痛みだけは 忘れたくないんだ」と宣言するような、明確で芯のあるフレーズに聴こえる歌い方だった。(夜は涙が現れていたと拝読しました、剛さんのいまの心が反映されているなあ)

 

●約10日振りの公演お伺いだったのですが、先日と比べると剛さんの歌唱がエモーティブな場面が折々あったように思う。歌い姿もなんとなく、緻密さから少し離れて、思いのままに近づいて動かせているような。Love Me+を読んで胸がぎゅっとして、同時に挑戦という言葉の意味をつよくふかく感じて、目の当たりにしていた。
比較の意味は微塵もない前提で、お耳を患う前の歌い姿、フェイクやロングトーンの様々にその姿までも透けて見えて。バラードだけを歌う、リハも本番も重ねる、ことで見えた世界があるのかなあ

ラブバとエビバデは黒幕に文字のみ、シンジルとは暗闇に同心円状に縮小拡大移動する光、愛詩雨は逆さ雨から順雨、赤い鼓動は見上げた空と雲、瞬きは光の粒が並んだり流形。
勃は足元に毛糸玉のように絡まり走る色様々な線達、愛のないは色線がスクリーンに移動、RoRは暗闇に歌詩?(照明は7色)、I knewは様々な木々と葉、Eyebrowは暗闇にブルーリボン、202021は奈良?の自然の風景にブルーリボンI’veも風景とか夜空、街は定点で恐らく奈良の暁から夜明け(生駒山とか高い所から街を見下ろす視点)。お姿は一切投影なし。

幾つかの投稿、大前提でお耳を煩う前の剛さんと単純比較するとか戻ってとかそういう意図はなくて、そのお身体を経てもこんなに胸を心を打つ歌声を成す剛さんが本当にすごくて、すごいという言葉ではとても足りないくらいにすごくて、打ち震えているという話です

 

MC中、剛さんの言葉にGakushiくんが折々「うん。」と相槌を打つのだけど、この相槌のいろ、世界一優しくて暖かくて相手を真綿で包むような、親愛と大切がたっぷり込められた相槌だったなあと思う…こんなにも自然な温度感のあるうんという2音、聴いたことないよ…

○涙を流していても、生きてるからそれを感じられるんだよなあ、この世にいなかったらそれもわからないからなあ(ニュアンス)と、己の手綱を引いて思う剛さんが重ねてきた数十年を想った。
走りながら倒れたことがある(金田一の上海映画撮影時のおはなしかなあ)。365日中休みは3日、睡眠時間は3時間。
突発性難聴と診断され、お医者さんが勧める処置は入院が必要で、でも仕事はあって自分でそれを選べなかった。
そう言う剛さんが、お別れしてきた夢は幾つあるのだろう。剛さんが決めた未来はいまどんな色彩で見えているだろう。

○忙しかった頃、ギターを弾いていると人が寄ってこないの話。コードで全然来ないのと、ノリ良く集まってきちゃうのと、ちょっと来るのもあると。後者の演奏して、歳上男性からの「いいねぇ」「何歳からギター弾いてたんだっけ」と絡みを再現する剛さんの精度の高さ笑
ちょっとダンディで斜に構えている節もあるような、意識に差し障る声色だったw  若い頃の剛さんは(今もかもしれないけれど)、望むべくもなく、計り知れない程の好奇とその場限りの薄い言葉を投げかけられていたのだろうなあ

 

いっとき心の恋人という剛さんの最初期の楽曲、その最後のフレーズ後にマイクに乗って息を吐くその音に生かされている時期があって、FUNKでは色々な音が鳴っている(剛さん、FUNKライブではボーカルが音と音の隙間を縫うように歌うからアレンジする余白はそうない的な趣旨の話をされていた)からそんな吐息を耳にすることはなくて。
今回の公演では曲によってブレスをマイクに乗せてる時と乗せない時があって(そこもコントロールされてる剛さんの凄さ)、乗せたその音を聴いたときに心が震える音が聴こえた気がした。彩りは様々だけれど、剛さんの音楽はあの頃から連綿と地続きで奏でられているんだなって胸がじーんとした。
どちらが良いとかでなくどちらも最大級に素敵で、今年どちらの側面もそれぞれ目の前で歌う剛さんを目の当たりにできてこんなに贅沢で幸福なことはないよ。
言ったら生で歌唱するの見るなんて想像もできなかった楽曲まで、いまの剛さんが顕にしているからさ…すごいなあ…
剛さんもこういう(バラード曲のみで構成した)ライブは珍しい、と数回仰っていて、ほんとにそうだなあ、これもまた素敵な時間だなあと切々と思った。

この公演に向けて剛さんはきっと途轍もない努力を重ねられて、公演の中でも日々声姿が変わって、培われていって。
つよしPでもその日々の片鱗を垣間見て(公演後1~2週間でこんな密着映像が見られるなんて、ほんとうにありがとうつよしP…)、
この1か月を経た剛さんの来年の音楽は益々羽搏いて、素敵で新しい世界に満ち満ちていくのだろうなあ…!と胸があたたかさでいっぱいになる気持ちなのです。

 

 

▽セットリスト
LOVE VS. LOVE
Everybody say love
・MC
シンジルとウラギル(ピアノ)
愛詩雨(アコギ)
・MC
赤い鼓動の Heart
瞬き
・MC

愛のない 愛もない いまが嫌い
Rain of Rainbow
・MC
I,knew me
・MC
Eyebrow/blue
202021
I've found my voice
・MC
ピアノソロ

 

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今年の剛さんは、7月Do more the E_FUNK/9月平安神宮&END RE ME/10月Ballad of FUNK/11月小喜利の私、と4種類の異なるライブ公演と年々継続している独演会、またzozo×ENDRECHERIの売り上げ1000%超でのコラボ服飾アイテム製作第2弾(12月発売とのこと、ほんとうによかった…)+つよしP第2シーズンに2枚組のアルバム発売(FUNKサイドとBalladeサイドの曲数&歌唱のとてつもなさ)、ともりもりな2023年でした…事務所のことではほんとうにいろいろなことが巻き起こって、しかし公の場ではこの件に発言することはない剛さんで、おなかのなかに沢山抱えた感情を漏らさず零さず、このステージや表現たちを成し遂げていらしたのだなあ、、と胸が詰まる気持ちにもなります。どうかどうか2024年も、剛さん、光一さん、KinKi Kidsの未来が未来としてありますように