The love that breathes

例えば空を見上げるような.

空よりも海深く

2018.4.21 Fashion&Music Book

拝聴しまして、ENDRECHERIを感じて。


剛さんはまたひとつ奥に、胸の奥底の奥、普通なら人の深部暗部光すら差し込みたくない己の深い傷に両手を突っ込んで、乾き始めたかまだ膿んでいるか分からないそこから腕を血塗れにして言葉や音楽を引き揚げてきたのだと思った。それは一重に昔その傷の中にいた自分、それと近しくある誰かを救うために


こんな慈愛に満ちているからこその憤怒があって、諦めないことを選んだから諦めかけて淵に立つ誰か、顔や形の見えない誰かをも浮かべて語りかけるのだと。苦虫を潰す感情もそのまま喚く音楽でなくてソリッドとウイットを宿しながら確かにその感情を表す。堂本剛が重ねてきた時間と仲間が叶えた音楽。


あと人生何回このひとを好きだって思えるのだろう。桜に遠い視線を送った愛する人を見て、その瞬間に心を留め置かれた愛する人いちどきりと宣うならこの命うつくしいと髄から沁みて思うひとを感じて感じて全うしたい。救われたその瞬間に私も貴方様同様、望んで貴方様へ留め置かれている。堂本剛さん


傷ついてもがいてその中に射した一筋の光をきちんと自身の努力と行動で掴んで握って。己の身を手繰り上げながら、その渦中出会った登る仲間と共に。日の当たる淵に辿り着いた剛さんがされたことは気楽揚々と前進することでなく、敢えてまだ傷む深淵を振り返りそこに居る誰かに手を差し伸べることだった


剛さんの優しさと強かさと。沸き起こる怒りをただ闇雲な怒りでなくきちんと制御して加工して、それでも刺さる牙をきちんと備えて形にできるところ。それが出来るようになった剛さんはまたひとつ別の世界へ到達されたのだと思う。HYBRID FUNKにはきっとそんな音楽が詰まっている。堂本剛の進化が。


剛さんは自らの手で今傷ついた誰かと、そして他でもないあの日の自分を。血塗れになっても胸が軋んでも、その痛みに耐えられる優しさとつよさを身につけた自分で救うのかもしれない。時間を超えて、他でもないその手で